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武蔵野美術大学の若杉浩一教授をゲストに招き「アコースティックデザイン」とは何か?を熱く語りました!

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質問が寄せられ、講演出演者も熱弁!


音環境の問題に取り組んできたチームを代表する若杉教授、テンポロジー未来機構理事・渡部さんにも音響設計の重要性についてお話しいただきました。

聴覚は人間の体や、感性に大きな影響を与えるにもかかわらず、特に公共の施設では音設計が重要視されていない現実がある。ドイツでは国が基準を定め、環境音設計がきちんとされているそうだ。


質の良い音環境は心を穏やかにしてくれる。

音響設計は、私達のより豊かな生活に必要なのだ!



「アコースティックデザイン宣言」



若杉浩一


武蔵野美術大学造形構想学部クリエイティブイノベーション学科 教授武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所 所長1959年生まれ。熊本県天草市出身。84年九州芸術工科大学(現、九州大学)芸術工学部工業設計学科卒。株式会社内田洋行入社、デザイン、製品企画、知的生産性研究所テクニカルデザインセンターで製品開発と研究開発を行い、13年、内田洋行のデザイン会社であるパワープレイスにて、ITとデザインのメンバーを集めリレーションデザインセンター設立。一方で、デザインの社会的の意義を求め、02年から、私的活動で地域や社会のデザインを実践、「日本全国スギダラケ倶楽部」を設立。現在、設立20年、会員数2400名に達する。会員が、全国で様々な活動をしている。19年4月、武蔵野美術造形構想学部クリエーティブイノベーション学科の教授として着任。地域社会とデザインの未来を模索し、実践、研究している。

「森は快適な響きを持った理想的な音響空間」



– アコースティックデザインとは – 若杉浩一氏


人間の五感の中で、聴覚ほど人間の身体や、感性に影響を与える感覚はない。しかし、環境設計の中でこれ程、大切に扱われない分野も無いと思う。慣れたり、我慢できるという事でもあるのだろうか?しかし、心身や健全な子供達の成長には大切な事であり、子供達にとっては、自分の声が届かない、他者の声が聞こえづらいと言う環境は、ついつい大声をあげたり、イライラしたり、先生とトラブルを起こしたりすることにもつながっているように思える。


僕も、中学校や高校で講演をしたりする事があるのだが、特に体育館での講演は、自分の声は聞こえず、残響で生徒達にも聞こえづらい、何とも不快な環境を味わってきた。大学でも高価な音響機器が入っているものの、そもそも空間の音響設計が悪く、聞こえづらい教室が沢山ある。


設計の基準といえば残響の事だけで、ややもすると、吸音材を沢山仕込めばいいのだ、と言う解釈で、作られる空間や家具が沢山ある。ところが、インテリアの傾向は、天井高を上げ空間のダイナミックな演出をするために、天井をスケルトンにしたり、空間の広さを演出するために透明ガラスを多用した空間設計が増えている。これでは益々音に対しては劣悪な環境を作っている事になる。


今までは、それでも何となく我慢して過ごせたのだが、コロナ禍になりオンライン授業やオンラインミーティングが当たり前になり、相手側の声が聞き取りにくい、話しづらいと言うことが環境に起因していると言うことを自覚することになった。


「オンラインは聞こえ辛い、話し辛い、疲れる・・。」

「オンラインは便利だが、隣の声がうるさい。」

「オンライン会議やる、 良い場所がない。」


という、新しい問題が顕になった。私たちは、音という世界を騒音、残響の問題としか考えておらず、「音の質」という視点を全く考慮していなかったのだ。


しかし、我が国の音響技術、設計技術は素晴らしく、音響機器の設計やスタジオ、ホールの設計等の特殊な空間や、機器単体の質は、国際的にも高いものを生み出している。つまり私達の国では、質の高い音環境のデザインが一般化されていないということを表しているのだ。大袈裟にいうと、素晴らしい技術や機器、素材を設計しておきながら、「普通の環境なんて、いい音なぞ、どうでもいいのだ。」と言っているようなものだ。


言い換えれば、毎日の食事に対して「味の質なんて如何でもいい、食べられればいいのだ。」と言っているに相応しい。



デザインの歴史を省みると、デザインとは、工業革命以来、物質的に豊かになり、工業化されて作られる様々なものに、豊かな暮らしにするために豊かな形を与えようとする、「人間側に立ったテクノロジー」として生まれたと言える。常に人間として豊かに生きる術としての活動、それが「デザイン」の本質と言えよう。だから、今こそ、音響の特殊化された世界にこそ、遍く人々のための「音環境のデザイン」が必要なのだと考える。




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